●No,48

「正(プラス)の感情」もチェックしなければならない訳

「感情のチェック」は、決して「負(マイナス)の感情」だけでなく「正(プラス)の感情」もチェック対象だと以前述べたことがありますが、今回「正の感情」のチェックの必要性について述べたいと思います。



以前、仕事先で私の仕事振りについて褒められた時のことです。


当時私は、その仕事場(工場勤め)で3ヶ月目に入ったところでした。

その頃から工場は大変忙しくなっており、一人の仕事能力によって終業時間が左右される状況にあったのです。

ある時、現場の責任者の人から「あなたの仕事が速くなったお蔭で、すごく助かってるよ。あなたがいなかったらこんな時間に終わらないよ。」といった内容のことを言われました。

私としては当然嬉しい言葉であり、素直に喜べばそれで済むような内容です。



しかし、その喜びの感情は、放って置いてはいけないものだったのです。

つまり、チェック対象の感情である「自我が原因の感情」だったからです。





「褒められたんだから、喜ぶのは当然でしょ? それのどこが悪いの?」



と、普通は思うでしょうが、「感情のチェック」をし続けることで「自我」を常に意識している私としては、気にならざるを得ないし、自然とチェックしてしまっていました。






こんなことを言うと「感情のチェック」って、喜ぶことも出来ないの?

と誤解されてしまいそうですが、そういうことではないのです。






私がこの時にチェックした「正(プラス)の感情」とは、先ほども述べましたが、明らかに「自我の欲求を満たした結果」としての感情が混じっていたのです。


そうです。厳密に言うと「混じっていた」のであって、「自我のみ」が満たされた訳ではありませんでした。


つまり、「役に立てて良かった」という理由で「素直に喜んだ自分」も、いたことはいたのです。




しかし、その感情に混じって「もっと褒めて欲しい」といった欲求が混じっていたということだったのです。

この欲求こそが「自我」からのものであり、以前述べたように「自我」とは、平たく言えば「自分のことばっかり考えている自分」です。




そんな「自我」を発見し受け入れることで、自我が原因として出てきた感情は落ち着きました。

そして同時に、多くの人がこういったケースの時に揺れる感情(敢えて揺れる感情と言いますが)を流してしまっているのだなと感じました。


そして、「正(プラス)の感情」の場合、「疑問」を投げかけるどころか、むしろ子供のように調子に乗ってしまう場合もあるのではないでしょうか?




私の場合、この時まさに「感情が揺れた」と感じたのです。

それは「負(マイナス)の感情」と同じ感触でした。

確かに周りで起こっていることは違います。

しかし、私の内部で起きているものの中に「負(マイナス)の感情」の時のような「揺れ」が混じっているのを感じ、チェックしたのです。



つまり、「疑問の投げかけ」をしてみたのです。

「確かに、褒められて嬉しいとは思っている。でも、何か変だな。何が変なんだ? 心の奥で欲求が強くなっているのを感じる。この欲求は? どうやら、この欲求は執着になっていく欲求と似ているな。ということは自我からの欲求が動き出したんだ。つまり、自我がまだ眠っていなかった訳で、刺激してしまったんだ。それで、褒められたことで、もっと褒めて欲しいという気持ちが出てきたんだ。」


といった風に、「自我」が原因である「欲求」が動いたことを「感情の揺れ」と感じたという訳です。




もし、こういった自我が消え「無我」であるなら、褒められたとしても「ああ、役に立ててよかった」と単純に喜ぶだけで、何かが引っかかるということは有り得ないのです。





そして更に、「正(プラス)の感情」も自我を満足させるだけの感情であったならチェックした方がいい理由のひとつとしてもうひとつ挙げられます。

それは、もし「嬉しい」と思ったとしても、「自我」が原因としての「正(プラス)の感情」であれば、「自我からの欲求」が強くなるので、冷静さが欠け(理性が鈍り)その時に行なっている仕事などに悪影響がでる可能性が高くなるということです。

先程述べた「調子に乗ってしまう場合」が、その典型でしょう。






例え「負(マイナス)の感情」ではなかったとしても、「自我からの欲求」が原因であれば、それは「負(マイナス)の感情」と同じ「揺れる感情」の部類に入る訳で、つまりそれは理性の対極にあるものであり、当然のことながら「感情のチェック」の対象となるのです。

【2008/06/22 12:00】
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瀧 將剛
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